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Co-marketingはシーン開発へ

“洋酒は難しい”をひっくり返す。
ドンキ×メーカーで仕掛ける共創マーケティング

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
市場の成熟化、生活者の価値観の多様化、デジタルの進化により、生活者が求める新しい価値を企業が提案し続けるハードルは年々上がっています。その打開策として今、マーケティングの世界で注目を集めているのが「共創マーケティング(Co-Marketing)」です。
企業間の連携によって、自社に足りない技術やノウハウを補完し合い、強みを掛け合わせることで、個社のみでは難しい、総合的な価値提供を目指す共創型マーケティング。本対談では、小売業界という巨大な市場において、この共創モデルを実践する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)と株式会社NODEの取り組みに焦点を当てます。
共創プロジェクトの中で、両社が得た実践的な知見と、今後に向けた共創の可能性について、詳細に語っていただきました。

聞き手:石田 直行、井上 亜美(NODE)

メーカーとの共創活動について

石田直行(以下、石田)  本日はよろしくお願いします。PPIHがお酒メーカーさんとの共創に注力している目的と、その具体的な取り組みの概要を教えてください。特に洋酒の強化という点で、どのような目標を掲げているのでしょうか。

小林真美(以下、小林) まず、私たちの大きな目標は、PPIHとしてのお酒の売上を2030年までに1000億円から2000億円へと倍増させることです。その中でも、ドン・キホーテのお酒では特に洋酒が強みですので、洋酒だけで4倍に伸ばしていくという、挑戦的なプロジェクトを進めています。この目標を達成するために、「自宅でお酒を楽しむシーンをつくり、市場を盛り上げ、お酒といえばドンキ(洋酒といえばドンキ)というポジションを確立すること」と置いています。

井上亜美(以下、井上) そんな中で、なぜ「共創」が必要なのでしょうか?従来の仕入れ販売を超えて、共創で「シーンを作っていく」という狙いについて、詳しく教えていただけますか。

小林 はい、従来の仕入れ販売の取り組みだけでは限界がありました。洋酒はビールなどと違い、飲み方が難しいといったイメージや、そもそも若年層が洋酒の飲み方を知る機会がないという課題があります。なので、単に商品を店頭に置いているだけでは売上は伸びません。

洋酒をもっと身近に楽しむ“シーン”をつくっていく上で、ドンキだけで広げていくのは難しいと感じていました。洋酒の特徴や美味しい飲み方を熟知しているのはメーカーさんであり、私たちドンキはそれをわかりやすく・親しみやすく伝え、消費者とつなぐ役割を担っています。だからこそ、メーカーさんと一緒に取り組む「共創」が欠かせないと考えました。またこの協力についても、単にリテールメディアを活用しようといった話ではなく、お酒との新しい出会いや発見を作る「需要喚起」の設計から行い、店舗内外のリアルな接点にて、それを届けていくといった取り組みを行いたいと思っており、この取り組みのPMOを行なってくれたのがNODEさんでした。

井上 ありがとうございます。直近の具体的な取り組みの例として、HUBさんとのコラボレーションや、メキシコ大使館での試飲イベントを行なってきました。テキーラはドンキの強みだと思うのですが、取り組みにおいてどのような出会い方や発見を目指したのでしょうか。

小林 おっしゃる通り、ドンキはテキーラを国内で一番売っていると自負していますが、やはり国内で「テキーラといえば、ショットで飲む、罰ゲームっぽい」といったイメージが強く、いわゆるパーティー需要が多いです。しかし、実はテキーラはカクテルでも美味しい飲み方がたくさんあり、海外ではカジュアルに日常的に飲まれているという側面があります。これを女性含めた若年層に、提案できたらと考えていました。
私たちの今回の取り組みでの狙いは、まだ多くの人が気づいていないテキーラの楽しみ方・飲み方を、メキシコ大使館での試飲イベントやHUBさんとのコラボレーションといったリアルな体験を通じて広げていくことでした。

石田 取り組みを通して、面白かった点や可能性を感じた点はありますか?

小林 はい。面白かったのは、従来のメーカー共創のイベントが一箇所でしかできないという課題に対し、HUBさんとの共創は全国の店舗で、かつ長い期間、洋酒の体験の場を提供できるという点が良かったなと思っています。
またメーカーさんと行う試飲会キッチンカーの取り組みでは、「リアルに誰が飲んでくれるのか、買ってくれるのか」がわかったのは良かったです。データだけでは見えなかったリアルな顧客像をメーカーさんと共有できたことが、一番大きな発見でした。

共創活動を進めていく上で見えてきた難しさ・課題

石田 このような共創・コラボレーションを進めていく上で、従来の組織構造や関係性からくる難しさや課題がありましたか?

小林 いくつか大きな課題がありました。
まず、従来の関係性です。従来のMDとメーカーの関係は、正直なところ「いかに安く仕入れるか」という交渉に終始しがちで、共創活動が成り立たないという現実がありました。また、初めての取り組みで手探りな状態だったため、部署や会社間でのKPIの違い、そして中長期的なビジョンの共有が難しかったなと感じています。結果、会社や組織横断での推進において、誰がどこまでやるべきか、お互いの対話がないとどう進めていいか分からない状況でした。

課題を超えていくポイント

石田 そうした構造的な課題を乗り越えるために、中立的なPMOチームという体制を設けられたわけですね。共創のハブとしてのNODEには、どのような役割や助けを期待されましたか?

小林 中立的なPMOチームの役割は、スピード感を持って共創を推進していくこと、そしてしっかりと形にする、実現させていくことでした。従来の「いかに安く仕入れるか」というリテールとメーカーの関係を変えていくために、日常の商談をしない部門である自社組織カイバラボとNODEさんで中立な立場に立ち、各所でハブとして活躍していただきました。

石田 具体的には、どのような点が助けになりましたか?

小林 NODEさんはメーカーさん側にも小売側にも立ち、両方の立場を理解してくださり、プロジェクト全体のオーケストレーションをしてくれました。具体的な役割として、お互いのニーズとかをすり合わせてくれたり、具現化に向けての進行してくれました。言葉としてはシンプルなのですが、これを我々だけでやると、どうしても「交渉」に戻ってしまうのですが、NODEさんが間に立っていただくことで、「共創」の関係性を維持できました。専門的な、専任的な中間のプレイヤーがいるからこそ、共創が成り立つ側面があると感じています。

石田 ありがとうございます。NODEは戦略だけでなく、実行まで伴走することを重視していますが、この点が推進においてどのように役立ちましたか?

小林 非常に助かっています。NODEさんは、戦略だけでなく「現場感」を持って、一緒に考えて、一緒にやるスタンスがまずあるなと感じています。通常のコンサルと違い「結果が出なかったら出るまでもう一回やります」という熱量もあり、現場を巻き込みながら推進してくださる力は、新しい取り組みを進める上で非常に助かっています。クイックなヒアリングや他社の事例をフラットに共有してくれるなど、PDCAを回す上でのスピード感があり、とてもありがたいです。

井上 私たちは、戦略や「べき論」だけを置いて去っていくものではなく、「実行者」として現場に深く入り込むことに価値があると考えています。そのためには現場の空気やトレンドを理解するのが大切と思っており、普段から他社の取り組みやお酒関連の話題を細かくチェックし、実際に店舗やイベントにも足を運んでいます。それは「課題があるから調べる」というよりも、「ドンキだったらこう活かせそう」「こんな取り組みができるかも」といった発想でアンテナを張っているからです。そうして得た気づきを、必要なタイミングで提案に反映し、プロジェクトにも還元するようにしています。現場で感じたリアルな情報をもとに、ドンキらしい価値提案につなげていくことを大切にしています。

小林 NODEのような「現場手触り感のあるコンサル」は新たなチャレンジを行なっていく上で非常にありがたい存在です。例えば他社のリリース情報などで華やかに見える情報に対しても、「本質的には何のためにやってるの?」「実際どうだった?」という深い部分まで確認できるため、施策のヒントになっています。

今後の展望

石田 取り組みを通して、得られた発見と今後の展望について教えてください。

小林  試飲会などの共創イベントで得られたのは、データだけでは見えなかったリアルな顧客像をメーカーさんと共有できたことです。メーカーさんと試飲会などの現場で同じことを実行し、お客様の反応を一緒に聞くことで、今後一緒にやっていくんだという機運を作り、お客様の理解を深めることができました。
そして、この学びを活かし、今後はMD軸へと共創を大きく発展させていきます。
例えば、NPB(ナショナルプライベートブランド)として、メーカーさんと一緒に、お客様が本当に欲しいと言っている商品を共同で開発し、ドンキホーテにしかない商品をつくりたいと考えています。
また、これとは別に新商品を先行的に我々のところに置いてもらい、お客様の声をクイックに集められるといったテストマーケティングの場としてのリテール、新たな取り組みができるリテールであり続けたいなと考えています。
体験から商品開発まで、「ものづくり」の領域まで共創を広げ、単発の販促ではなく、共創による新しいブランドや文化づくりを推し進めていくのが、今後の展望です。

石田 本日は「ドンキ×メーカーさんで仕掛ける共創マーケティング」についてお話を伺いました。ありがとうございました。

小林真美
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
マーケティング戦略本部 カスタマーインサイト分析部 部長
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス マーケティング戦略本部 カスタマーインサイト分析部 部長

2002年パナソニック入社。情報システム部門で、中国、欧州、北米などへの海外赴任を含め数多くのグローバルプロジェクトに携わる。15年ファーストリテイリングに入社し、CRM・データ分析部の立ち上げに携わった後、TASAKIで経営戦略部部長、資生堂の経営戦略部でDXプロジェクトをリードする。22年1月株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス入社。スティーブンス工科大学大学院ビジネスインテリジェンス&アナリティクス修了。

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