Member Interview - メンバーインタビュー

人と環境の間に生まれる意味を、個性活きるコミュニティにつなぐ

前田 俊幸(Toshiyuki Maeda)
NODE コンサルタント

日本にまだ「UX」という言葉が広まっていない頃、「UX TOKYO」という勉強会をはじめて、Facebookコミュニティに約2000名のメンバーが集まった。そのコミュニティを立ち上げたのが若かりし頃のNODEコミュニティ事業を統括する前田俊幸だ。

目に映らなくとも、人と人がゆるやかなつながりを持った時、そこに一筋の線が見える。その線にはどんな意味が生まれるのだろう。その意味がゆるやかな組織に参加するメンバーの個性を引き立てるものになっていたら、それは前田の思い描くコミュニティの未来を築くことに成功できた証なのかもしれない。

現代的で新しくつながる組織への共感

Q どのような経緯でNODEとつながったんですか?

代表の金とは同じ職場でプロジェクトメンバーでした。当時のメンバーで、転職をせずに最後の2名まで残っていたのが金さんと僕で、金さんとは義理人情でつながる面があったり、リスペクトを感じたりしていて、また、金さんが今後やっていきたいことの方向性に共感したのでNODEで副業で働くことになりました。

Q どのような仕事をしているんですか?

普段はテクノロジー系企業に勤めて、社会課題を解決するプロジェクトをしています。介護やフィンテック、HRなど幅広く手がけているAI関連企業です。でもNODEでは全然異なる仕事を担当しているんですよ。コミュニティ事業です。

Q 全く異なる、コミュニティ事業にたずさわったのは、なぜですか?

それに興味があると伝えたからだと思います。フリーランス的に働くことを正として、ゆるやかな組織でつながりながら働くコミュニティを志向することは、現代的だと思ったんです。

Q 以前もコミュニティに関わったことはありますか?

10年くらい前に「UX TOKYO」という勉強会を立ち上げたことがあります。

Q 10年前のUXといい、NODEでのゆるやかな組織といい、新しい可能性に関心が向くんですね。

そうですね。根本原理はミーハーなのかもしれません。好奇心があるというか。

Q コミュニティ事業では、どんなことをしていくんですか?

具体的なことは、これから決まっていきますが、このインタビューのように、ある媒体を通じてNODEとつながりを持つ人たちにスポットを当てて、他社や別のNODEの人たちにその人の個性を伝えていくこともコミュニティ事業のひとつに入ります。

ゆくゆくは、何かひとつのジャンルで仕事に励む人にスポット当て、その人を活躍できる場所につなぎ、事業化していくことにも取り組めていけたらいいのかもしれません。

人の行動に関与する仕事をしてきて、心に刺さった観点

Q そんな前田さんは今、どんなことに興味を持っていますか?

ライフワークというか、追求していきたいテーマは持っているんです。それは、過去にUX TOKYOをはじめたことにも関係があることですが、“人と環境の連動性”に関心があります。

過去にユーザーインタビューをたくさんやっていた時期、肌感覚として、人は状況設定をしてから何かを頼むと、その状況設定に行動が左右されることに気づきました。それで、人間が取る行動の背景に興味を持つようになったんです

Q 何に対して人はどう動くのか、ということですね。

仕事柄、ユーザーからコンバージョンを得るためにWebページばかりつくっていたことも関係しているのかもしれません。そういう仕事に囲まれていた頃は時折、「俺は一体、何をやってるんだろう」という気持ちにもなっていたんです。

それである時、お寺で座禅を組もうと思ったんですね。その行き先に、当時の自分にとって心に刺さる言葉が書かれていました。誰が残した言葉なのかはまったくわからないんですが。
「心は行動を生み、行動は習癖をつくる。習癖は品性をつくり、品性は運命を決する」と書かれていて、心は人それぞれのものだけど、行動を生む部分には仕事でたずさわっているな、と。

そこに椅子がありますけど、その椅子によって人は歩き方が変わったり、態度も変化したりするんだろうと考えていくと、人の価値観をはじめ、いろんなことに影響を与えているものは何なのか、ということが気になっていったんです。

Q 人と環境は関係し合っているんですね。

たとえば赤ちゃんが身近なものに触って、硬さを感じたり、もたれかかることができると思ったりすると、その触ったものに椅子や机といった意味が生まれるという研究があるそうです。触覚がセンサーになって環境とのインタラクションで意味が生まれていく、ということにすごく興味があります。さらに言えば、なぜ人はある対象に興味を持ちはじめるのか、という根本原理に興味があるんです。

エモくて、知的な連帯を数多く作りたい

Q 人と環境は、仕事や働き方にあっても作用していそうですね。

でも、冷めた目で見ると自分は人寄りではなく、構造やメカニズムのほうに興味があるんだと思います。たとえば、今の大企業にゆるやかな組織のネットワークを導入したらどんな変化が生まれていくのか、といったことには関心を持てそうです。

Q 人のつながる場所にあるメカニズムへの興味を持つ方が、コミュニティ事業にどんなビジョンを描いているのかはとても興味があります

そういう意味だと、NODEの新年会で発表した内容を思い出します。これまでに経験してきたコミュニティの知見をNODEメンバーに伝える機会だったのですが、そこで進化論について発表しました。

進化論というと、一般的にはダーウィンが有名で、弱肉強食の世界観がありますよね。でも、ダーウィンとは異なる世界観を提唱していた方が日本にいて、今西錦司さんという学者なのですが、その人の進化論である、「棲み分け理論」を体現したようなコミュニティにしていけたらいいんじゃないかと思っているんです。

Q 興味深いですね、もう少し詳しく教えてください。

今西さんは大学時代に山岳部にいた方で、ある山を登っている時にいろんな動植物を目にしながら、「訳のわからない生き物がたくさんいるけど、なんだか、よろしくやっている」といった感覚になったそうなんですね。きっと、「自然ってそんなにあくせくしてないじゃん!」、「(本人は気付いていないけど)おもろいじゃん!」、と思ったのだろうなと(笑)。
決して、ダーウィズムのように競い合っているようには見えなかった今西さんは、訳のわからない生き物にも居場所があるように、棲み分けて進化してきたんじゃないかと言っています。つまり、生物は競争原理でなく共存原理で動いている。

学術的にその提唱は必ずしも正しいとは言えないんですが、イメージとしては、そんなコミュニティがいいんじゃないかと思うんです。どんな人にもどこかしら特徴はあるわけだから、多様なままに棲み分けていくような。誰一人同じ人はいない、それぞれにニッチな居場所があって、個としても、全体としても、いきいきとしている。そんなイメージです。

Q 多様で個性が活きるコミュニティの実現を、NODEで目指しているのですね。

そうですね、今お話ししたようなことから、NODEのコミュニティのコンセプトは、 “Forcus on the People”(一人一人に焦点を当てる)としました。NODEという組織ではなく、一人一人の“人”に着目して、コミュニティ事業を運営できたらと思っています。
具体的には、一人一人が、自らの意思で市場に貢献しよう、市場を変えていこう、と行動するのに対して、NODEは、その挑戦の舞台を整える。一人一人が苦しみながらの努力の末に、一つのチームとなって、その人たちの魅力、その人たちが育んだチームの魅力で、市場を牽引していけたらいいですね。

前田 俊幸(Toshiyuki Maeda)

1980年、岡山県生まれ。東京大学工学部、同大学院学際情報学修士。新卒でUXコンサル企業に入社後、大手企業の顧客中心によるサービス開発やCXマネジメント支援、また自社SaaS事業のCS/PDMを担当。その後、外資系ゲーム会社でのUXリサーチャーを経て、現在AI系スタートアップに勤務中。
副業として働くNODEでは、コミュニティ事業を担当。「飽きることは空きること(開かれること)」をモットーに日々うつろう。休日は読書とボクシングにいそしむ。ワイン好き。

取材・文/新井作文店 写真/雨森希紀 ヘアメイク/江頭亮子 デザイン/吉川 渉 編集/丸山央里絵(Funday)

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