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INTERVIEW

情報、人、会社、そして歴史をつなぐ観察眼

NODE顧問 相澤利彦(あいざわ としひこ)

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  • NODE2020年2月3日
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相澤 利彦(あいざわ としひこ)

株式会社エーエム・ピーエム・ジャパン 代表取締役社長をはじめ、数々の企業を支えてきた経営手腕は、情報をはじめ、人や会社をつなぐことに真価を発揮してきた。それは、歴史をつなぎ、新たな価値を残す未来に向けた仕事を生んでいる。
NODE顧問を務める、相澤利彦氏に詳細を聞いた。

価値につなぐ仮説の立て方

価値につなぐ仮説の立て方

Qこれまで、どんな仕事をしてきましたか?

僕がやってきたことは、基本、つなぐことなんですよ。息子が二人いますが、長男の結婚を機に三人分のスーツを新調して、結婚式で着る予定です。式では生まれて初めて履いた「ファーストシューズ」と子どもの頃から家族と写ってきた写真をまとめたアルバムをプレゼントしようと思っています。子どもたちには、自分の人生観や価値観を伝えられるように、子どもの頃から接する時間をつくってきました。
ビジネスの場合もつなぐことは変わらず、あるテクノロジーをどのように活用すればお客様にとってバリューを生むのか、ということが仕事になります。そのテクノロジー活用を実現するために必要な誰かをつないでいく。1社単独ではバリューを生むクリエイティブはほとんど実現しない中、できたら気の合う仲間とつながって、新しいバリューを生んでいけないかと考えています。
そして、情報や人、あるいは会社をつなぎ、歴史をつなぐことに取り組んできました。顧客が提供する商品やサービスは、時代に合わせて進化させていくものでしょうけれど、その中にも大切に残していくものはあります。日本の会社で言えば、おもてなしの心といった歴史というか、伝統はつないでいかなくちゃいけないという思いが強いですね。

Qつなぐ何かを決める判断基準を教えてください。

新しい商品やサービスをつくる際に、たとえば「この人にデザインしてほしい」と思い浮かぶんです。過去に仕事をともにして、頭に浮かべた仮説がちゃんと検証されて、実績を残すことができた人たちの顔は当然浮かびます。もちろん、Give & Takeじゃないと成り立たないから、僕も彼らに何か価値を提供しないといけない。その価値は、時と場合によって異なります。

Qアイデアを生むヒントは?

スティーブ・ジョブズがiPhoneをつくった当時、よく話していた言葉が言い表しています。
タッチパネルというテクノロジーはずいぶん前から存在していたけれど、それをキーボード代わりにするという考えにクリエイティビティがありました。そんなジョブズはよく「どうして、そんなにクリエイティブなんですか?」と聞かれたようなんです。
すると、ジョブズは「私はクリエイティブなわけじゃない。エキセントリックなくらい観察しているんだ」と答えていたらしく。つまり、携帯電話をつぶさに観察していたことで、タッチパネルのほうが便利になるんじゃないかという仮説を思い浮かべることができた。僕も、その感覚に近いんです。人よりも少しだけ観察眼があって、こだわり続けて考えるくせがあるんですよ。

観察眼がつないだ企業価値の創出

観察眼がつないだ企業価値の創出

Q観察眼によって価値を生んだ具体例を教えてください。

飲料メーカーのコンビニ展開を支援した事例がわかりやすいです。コンビニの買い物客がポイントカードを利用した際に取得できるID-POSデータを解析して、A社の社長に見せました。2005~2009年の5年間でA社がコンビニ展開した新ジャンルの売上推移と、ライバル企業のB社が出した同ジャンルの売上推移を比較して見せたんです。
そのデータには、A社が新商品のリリースと撤退を繰り返している様子が写っていました。一方でB社は2~3ブランドで安定した売上を残し、コンビニに定着させていたんです。
A社の社長は、これまでに僕が見せたような解析データを見たことがないと驚いていました。理由は簡単で、A社の担当者がこのような結果を見せてしまったら、自分の成績に響くからなんですよね。でも、このまま新商品のリリース・撤退を繰り返していたら、収益の低下や経営資源の分散が続いてしまいます。それにコンビニの買い物客にも「A社の新商品はすぐになくなる」と思われてしまうから、放置しておけないことだと話しました。
その話でA社の社長は「やはり、うちには商品力が足りないんだ」と嘆きました。きっと、そういう反応を見せることを見越して、僕は次のデータ解析資料も持参していたんです。それは、ID-POSデータで取得できるトライアル率の解析データ。この5年間でコンビニに導入された商品を比較することができるんですが、それによるとA社は7商品が導入されていて、B社は4商品しか導入されていませんでした。
A社の社長の前で「商品力ではB社に劣らない」と伝えました。すると必然的に、商品力が劣らないのに定番化しない理由は何だろう、という話題へ移ります。そこで僕はID-POSデータからリピート率を取り上げた解析データを見せました。これは、買い物客が何を繰り返し購入しているのか示した内容ですが、A社の場合、既存商品のリピート率を新商品で潰していることがわかるんです。
なぜかというと、コンビニの棚には1社から2~3商品を入荷する、というルールがあるためです。同じコンビニでも、A店では商品A・Bが陳列され、B店では商品B・Cが、C店になると商品C・Dが並ぶ、といった違いが生まれます。コンビニ全体で見ても、分散していく結果を招いていました。つまり、「自分たちで押しつぶしているんですよ」と話すことになりました。
これは経営資源の配分を分散させてしまっている経営判断に課題があるから、A社の社長自身の問題だという話を率直にして、強化する商品を決める支援をしました。その後、A社はB社のように商品を定番化させることができて、B社よりも売上を伸ばすことにもつながっています。話が少し長くなりましたけれど、これが入念な観察と情報をつなぐという僕の仕事の一例です。

未来をつなぐ新しい仕事像

未来をつなぐ新しい仕事像

Q仕事の一例を聞いても、1社が新商品で流行をつくる状態から、定番化を経てブランドを築く状態へ移っていく様子がわかりました。情報をつなぎ、人や会社をつないで、歴史をつなぐということが相澤さんの仕事だというイメージもついたような気がします。

しっかり情報をつなげば、重要なアクションを生むことができると信じています。このような分析をする社長が少ないようで、これから増やしていきたいと思うんです。実は僕、小売業の社長をしていた時期に「分析社長」と呼ばれていたんですよ(笑)。
この一例の分析内容を提出できたのも、店頭に足を運んで複数店舗の商品棚を観察した結果、思いついた仮説が基です。現場でビジネスインサイトを観察すれば、素直に仮説を立てられます。

Q 最後に、NODEに期待することを教えてください。

NODEを和訳すると、僕の会社名「TSUNAGU・パートナーズ」と同じ意味になると思うんです。世の中の多くのコンサルティング企業は、自社のピラミッドの中からどんなサービス提供ができるのかを考えますが、そうではなく、提供したいサービスで価値を生むために必要な人材をつなげていくことを、NODEには期待したい。
たとえば、顧客がデジタルマーケティングを進めたいのなら、社内外を問わず「デジタルマーケティングは、あの人が1番」という人材、あるいは会社とつなぎ、ネットワークで価値を生んでいく。そして、顧客の先にいるお客様に、本当に新しいサービスや価値を提供していくことが実現できたらと思っています。
そして、これからはAIの時代です。人がやっていた仕事をAIが取って代わるようになっていきます。例えば、ショッピングモールのテナントを入れ替える場合にどんな店を入れるのか、ということはこれまで伝統や経験や勘で決めていたけれど、それもデータにオプティマイズされる。
そういう時代にデータ活用は積極的にAIに任せて、もっと人間としての価値がある仕事をつくっていくことに興味を持っています。これまで経営をしてきた方々にも、仕事はなくなっていくことを話しつつ、人間的な仕事を見つけようと話しているんです。その人間的な仕事というのは、文脈を理解し、人の気持ちを汲むことができるという特徴を活かした仕事だと思うんですね。そのような次の仕事をつくっていけたらいいと思っています。

相澤利彦(Toshihiko Aizawa)

1961年、岡山県生まれ。コスモ石油を経て、11年間経営コンサルティングに従事した後、産業再生機構出資下のダイエーの企業再生を業務改革担当取締役として担当。株式会社エーエム・ピーエム・ジャパン(現ファミリーマート)代表取締役社長として企業再生と会社売却を実現して退任。現在は、TSUNAGU・パートナーズ株式会社代表取締役。また株式会社NODEを始め、多くの企業の顧問を務めている。日本の社会・企業に受け継がれてきた歴史や文化を、次の時代につないでいくことをミッションとしている。

取材・文/新井作文店 写真/雨森希紀 ヘアメイク/江頭亮子 デザイン/吉川 渉 構成・ディレクション/丸山央里絵

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