
まず、現代のCXを考える上で避けて通れないのが「テクノロジーの進化」です。
近年、デジタル技術が急速に普及したことで、多くの体験が「つながり」「効率化」し、生活者にとって”便利”なものになりました。
ただ、便利さ、便利な顧客体験というのはすぐに“当たり前”になります。
最初は「在庫がスマホで見られるなんて便利だ」と感動していたのに、気づけば「この店舗、在庫連携してないのか」と不満に変わる。
今となっては便利さは感謝されることではなく、標準的な体験になっています。
生活者にとっては良いことですが、企業側には別の問題が生まれます。
それは “体験が均質化する” ことです。
どのサービスも一定以上便利になった結果、「この企業を選ぶ決定的理由」が弱くなった。
この課題に、いま多くの企業が直面していると考えています。
便利さだけでは差別化が難しくなった以上、企業は次の選ばれる理由をつくる必要があります。
そんな中で、便利さではない価値として、“情緒的な価値(楽しさ・共感)” に再度注目が集まっています。
効率・利便性競争ではなく、生活者が「このブランドがいい」と感じてもらい、選んでもらう、これをいかにつくるか。そんな状況が近年続いていると感じています。
そしてこの”情緒的な価値”をどう体験に落としていくか、その際に、改めて生活者視点で価値の伝え方を考えるのが大事だなと思っています。
例えば、コスメブランドで考えてみると、
「朝、電車内のサイネージでコスメの新商品の広告を見る」
「昼、友人とお昼休みにコスメの新作について盛り上がる」
「夕方、気になった新商品をお店で試して電車で帰宅」
「夜、新商品の口コミをSNSでチェックする」
といった形で、生活者の顧客体験は、生活導線上のタッチポイントでつながっています。
そして正直、この全ての接点を1社だけで完璧にコントロールするのは難しいのが現実です。

だからこそ重要なのは、「自社のみで体験を完結させる」「自社だけで、“情緒的な価値(楽しさ・共感)” 作りきる」という前提をいったん手放し、他社と価値を掛け合わせて体験を拡張させることです。NODEでは、これを Co-Marketingと呼んでいます。
また、他社と価値を掛け合わせた体験というと、「一緒にキャンペーンをやればいい」という誤解がよくありますが、実際にはそれだけでは成果が出にくいなと考えています。
なぜなら、Co-Marketingとは“顧客体験そのものを共同でつくるプロセス” であり、単なるタイアップや合同プロモーションとは本質が異なるからです。では、どうすれば共創が成功しやすくなるのか。
ここからは、実務で学んだ重要なポイントを説明します。

① 共同CRM──“顧客を同じ視点で見る”という前提づくり
まず押さえておきたいのは、データが共有されない共創は、ほぼ成果につながらない ということです。企業ごとにKPIも顧客像も異なるままだと、生活者からは「つながりの弱い、別々の体験」に見えてしまいます。
そのため必要なのは、
・共通KPI
・共通のセグメント設計
・行動データやインサイトの共通理解
といった “同じ顧客を見るための基盤” です。
共創は “顧客を取り合う” のではなく、“顧客を一緒に育てる” という発想がスタートラインになります。
② ROR(Return on Relationship)──“短期売上の外側”にある成果を見る
共創で起きやすい誤解が、短期売上だけに注目してしまうこと です。
Co-marketingにおいて、売上は、実は“関係資産の積み上げ” の先に現れる二次成果 です。
たとえば、
・メーカーとリテールの関係性が深まる
・ブランド同士の世界観が揃う
・ファンが両者を行き来しやすくなる
こうした “関係資産” が蓄積すると、施策は 再現性を持って強くなる傾向があります。
これが ROR の考え方で、短期売上だけでは測れない “複利の価値” を可視化する重要な指標です。
③ 協業形態の設計──“どのレイヤーで勝負するのか”を揃える
共創が迷走しやすい理由のひとつが、目的の異なる取り組みを、同じ企画プロセスで扱ってしまうことです。
Co-Marketingには大きく3つのレイヤーがあります。
・社会価値型:健康・環境など、態度変容が主目的
・事業連動型:顧客基盤を掛け合わせ、需要を創出する領域
・ブランド型:世界観を重ね、話題化を狙う領域
このレイヤーが曖昧なままだと、KPIも成果期待もズレて、プロジェクトは簡単に迷子になります。
まず問うべきは、「この取り組みは、どのレイヤーの勝負なのか?」
ここを揃えるだけで、Co-Marketingの成功確率は大きく変わります。
ここまでCo-Marketingにおける重要なポイントをお伝えしてきました。これらのポイントを抑えた上で、実際のプロジェクトを進めていく中で、最後にぶつかるのが”推進の難しさ”です。
例えば
・各社のKPIや狙いの違いにより、同じ方向を向くのが難しい
・従来の関係から脱却しにくい(例:リテール企業↔︎メーカー企業)
・会社や組織横断で推進できるチームがない
といったことが起き、プロジェクトの推進力が弱まってしまったり、取り組み自体が頓挫してしまうことがあります。
そんな中でNODEはCo-Marketingプロジェクトにおいて中立的なPMOを担い、全体のオーケストレーションを行います。
具体的には、
1. 共創のハブとしてのプロジェクト設計と進行管理および課題管理
2. 双方の狙いや課題を踏まえた中期的な目的や方針のすり合わせ
3. 双方の状況を考慮した柔軟な調整
などを行い、プロジェクトに推進力を持たせています。
NODEは、「べき論を置いていく」のではなく、経営↔︎現場のどちらの視点も持ち、クライアント様が日々向き合っている実務にもコミットさせてもらっております。このようなオーケストレーションがCo-marketingの実行にはとても重要だと捉えています。
今後はCo-marketingの実践として、クライアント様とのお取り組み事例記事も公開予定ですので、
ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
また変わりゆく社会に対し、皆でより良い価値創造を進められれば、と思います。

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