Column - コラム

AIモデルによる課題解決と価値創造を実現するための4つの指針

ビジネスシーンでのAI(人工知能)導入は加速度的に拡がりを見せ、業務の自動化や効率化、高度化の推進、そして、新たな価値創造の可能性へとつながっています。しかし、AIの潜在⼒を最大限に引き出し効果的に活用できているか、は別問題です。

本コラムでは、AI×データの仕組みを構築・運用する上で大事な4つ

1. 目的の明確な定義
2. 目的達成のための質の高いデータの確保
3. 適切なモデルの選択と検証
4. 継続的なモニタリングと改善

について、解説します。

「AIに何をさせたいか」という目的の定義と課題設定

漠然とAIを導入しても、期待する結果は得られません。効果的な活用には、明確な目的と課題設定が不可欠です。

タスク・目標の定義

「顧客満足度を向上させる」といった大まかな目標ではなく、「問い合わせ対応の自動化により、応答時間を30%短縮する」といった具体的な目標設定が必要。並行して、明確なゴールに基づく成果の測定基準を定めることで、適切なアルゴリズムの設計と選択に役立てることができます。

長期的な視点

AIは、ビジネスに持続的な価値をもたらすもの。組織に対してAIがどのような影響を与えるのか、どのように進化をさせるべきなのか、長期的視点で設計することが必要です。

ビジネス戦略の一環として捉える

AIの導入は、単なるIT投資ではなく、ビジネス戦略の一環として位置づける必要があります。そして、現場から経営層まで組織全体でAIの目的と価値を共有し、一丸となって取り組むことが成功への鍵となります。

AIモデルの性能を左右するのは、データの質

AIは与えられたデータに基づいて学習し、判断を下します。つまり、質の低いデータを与えれば、期待した成果を得られない、というのは当然のことなのです。

では、AIの性能を最大限に発揮させるための“質の高いデータ”とは、どのようなものなのでしょうか。以下のような要件が必要だと考えられます。

◆AIが解決すべき問題に関連性が高い
◆現実世界を適切に反映している
◆多様性があり偏りがない
◆個人情報の保護など倫理的な配慮を行いつつも量的に十分である
◆データ収集・利用において透明性を確保している
◆データクレンジングによってノイズや欠損値を取り除いている


質の高いデータはAIの精度や効率性、公平性を支える基盤です。適切なデータ戦略を立て、データ品質の確保に注⼒することが、AIプロジェクトの成功には不可欠なのです。

想定される行動の確認、そして、インサイトの考察

事前準備が整い、AIモデルに学習させる実行段階へと進んだ際にも留意したいのが、AIモデルの選択と検証です。AIモデルには種類があります。汎用モデルではなく、タスクに特化したモデルを採用することで、より高い精度を実現できます。

テストデータを用い、モデルの出⼒と想定される行動が一致しているかを確認

検証において重要なのは、単に精度を追求するだけでなく、結果の解釈やインサイトの考察を行い、学習済みのモデルが期待どおりの結果を出すかどうかの検証です。

説明可能なAI(XAI)の手法によってモデルの判断根拠を明確化

AIモデルの意思決定プロセスは複雑で、不透明になりがちです。なぜそのような判断を下したのか、どのような要因が影響したのかを理解することが重要。これにより、モデルの公平性や倫理性を担保し、ユーザーの信頼を獲得することができます。

特定領域の専門家を交えて、AIの出⼒を吟味

AIモデルの検証は開発段階だけでなく、運用後も継続的に行うべきです。データサイエンティストだけでなく、ビジネスの文脈を理解している人材が定期的にモデルの性能を評価し、必要に応じて再学習や改善を行うことで、より実践的なインサイトを得ることができます。

継続的な検証こそがAIの精度向上につながる

AIは本質的に動的であり、新しいデータが加わるたびに自律的に学習を重ね、その振る舞いを変化させていきます。だからこそAIシステムの安定的運用には、継続的なモニタリングと検証が欠かせません。精度やパフォーマンスの低下、意図しない動作、倫理的な逸脱などの問題をいち早く発見し、適切に対処することが求められます。


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技術的な側面だけでなく、ビジネスの観点からも行うべき

AIの出⼒が業務プロセスにどのような影響を与えているのか、ユーザーの行動にどのような変化をもたらしているのか詳細に分析。技術だけに頼りすぎず、現場の声にも耳を傾けてフィードバックを得ながら、AIシステムを改善していく必要があります。

AIの運用においては、人間との協調も重要な要素

AIの結果を鵜呑みにするのではなく、人間の知見とのバランスを取りながら意思決定を行うことが求められます。特に、倫理的な判断が求められる場面や、高度な専門性が必要とされる領域では、人間の監督が不可欠です。

AIシステムの継続的な検証と改善

AIの効果的システムは、一朝一夕で実現できるものではありません。組織全体で粘り強く取り組んでノウハウを蓄積し、PDCA(計画-実行-評価-改善)サイクルを回しながらAIシステムをブラッシュアップさせる姿勢こそが大切です。

変革と成長のためにAIを味方につける

AIの波は、もはや避けられないものとなっています。この大きなうねりを自社の成長の原動⼒に変えていくには、現場から経営層まで一気通貫でAIに取り組む姿勢が求められます。AIを味方につけ、データの⼒を最大限に引き出すことで、新しい価値を生み出し、ビジネスの未来を切り拓いていくことができるでしょう。その実現のためには、地道な努⼒と試行錯誤が欠かせません。

本コラムで提示した4つを起点に、自社のビジネス特性や組織文化に合わせてAIの活用方法を探っていくことが重要です。AIはあくまでもツールであり、それを使いこなすのは人間です。技術的な側面だけでなく、倫理的・法的な配慮、組織変革の視点を持ちながらAIと向き合っていく必要があります。これらの要点を理解し、実践することで、AIの⼒を最大限に活用し、ビジネスの変革と成長を推進することができるでしょう。

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